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骨粗鬆症の治療薬と薬剤関連顎骨壊死について

顎骨壊死は、骨を強くし、骨折のリスクを減らすために使われる、骨粗鬆症治療薬による副作用の一つです。2003年に初めて報告されてから、世界中でその発症が認識されるようになり、高容量、低容量また服用の期間に関わらず、一部の患者さんにおいて、顎骨に問題を生じさせることがあると分かっています。

顎骨壊死の主な原因は、これらの薬物が血液供給を妨げたり、骨の修復を遅らせたり、感染が慢性化することです。顎の骨は、特に歯科治療や口腔外科手術の際にダメージを受けやすく、治癒が遅いため、細菌感染が遷延化しやすく、この状態が発生また進行するリスクが高まります。

抜歯やインプラント埋入手術における予防的休薬については、2023年顎骨壊死検討委員会ポジションペーパーによると、「原則として休薬しないことを提案する」とされています。これは発症のリスク因子として、手術的侵襲による組織のダメージよりも顎骨および周囲組織の感染の存在を重視していることにあります。そのため、手術部位の汚染度を考慮した抗菌薬の適正使用を推奨するとされています。

顎骨壊死の症状には、口内での痛み、腫れ、口の中の潰瘍、歯の緩み、歯茎の感染などが含まれます。これらの症状がある場合、早期に医師や歯科医と相談することが大切です。以前は難治性とされていましたが、現在は抗生剤の投与や手術による外科治療の成績が大幅に向上してきています。とはいえ、早期発見早期治療が鍵であり、まずは進行を防ぐために歯科治療や口腔外科的処置を歯科医とご相談しながら迅速に対処していただく必要があります。

顎骨壊死のリスクを最小限に抑えるために、患者さん自身も注意が必要です。口腔衛生をしっかりと保ち、歯科医の指導に従って歯の健康を守ることが重要です。また、治療薬に関する情報を医師や歯科医に正しく提供し、リスクを共有することも大切です。

顎骨壊死は治療薬の一部の患者さんにしか影響を及ぼさないまれな副作用(1/1000)ですが、正しい情報と適切なケアにより、予防や早期治療が可能です。患者さんと医師、歯科医が協力して、このリスクを最小限にし、骨粗鬆症の治療のメリットを享受できるよう努力していきましょう。



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