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​側弯症外来

当院では、思春期特発性側弯症の早期保存的治療を重視しています。

側弯症の3D-CT:
脊柱の捻れを伴う側弯症のモデル

思春期特発性側弯症(以下、AIS:Adolescent Idiopathic Scoliosis)は、10歳以降の成長期に発症する原因不明の脊柱変形で、側方への弯曲に加えて椎体の回旋を伴う三次元的変形です。特に女子に多く、学校検診や肩の高さの左右差、肋骨の突出などを契機に発見されます。診断には立位全脊椎X線を用い、Cobb角が10度以上で側弯症と定義されます。(右図参照)

 

発症原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因、成長速度、ホルモン、自律神経機能、姿勢制御異常などが関与すると考えられています。多くは軽症ですが、成長期に進行することがあり、特に初潮前後や身長が急激に伸びる時期は注意が必要です。進行すると体幹変形による整容面の問題だけでなく、重度では腰背部痛や呼吸機能低下を来すことがあります。

 

治療は、X線におけるCobb角とRisser sign(骨盤骨端線による成長残存性の評価)によって決定されます(右図参照)。進行リスクが高い場合には装具療法と運動療法が検討されます。40〜50度以上など重度の側弯症へ進行する場合は手術適応となることがあります。近年ではシュロス法などに代表されるPSSE(Physiotherapeutic Scoliosis Specific Exercises)などの側弯症特異的運動療法も注目されており、装具療法と組み合わせて進行抑制を目指します。早期発見と成長期の継続的評価が極めて重要な疾患です。

​当院の診察から治療の流れ

まずAIS診療のスタートは、学校検診(小学校5年生、中学校1年生の女子は必須)になります。そこで疑いありと診断された場合、整形外科を受診し、X線検査によるCobb角測定と鑑別診断を行うことが重要となります。楔状椎や神経筋疾患などAIS以外の原因を除外し、重症例(Cobb角45°以上)は大学病院などの専門施設へ紹介する流れとなります。(右図) 

保存的治療の目標は、成長終了時(Risser 4〜5)にCobb角40〜45°未満を維持し、手術を回避することです。また外見上の改善やQOL向上も重要な治療目標として挙げられます。 

 

 

AISの自然経過については、Lonstein & Carlson、Nachemson & Peterson、Weinsteinらの研究が有名で、成長期においてCobb角25°を超えると進行リスクが急激に上昇すること、未治療では25〜35°の症例の約80%が45°以上へ進行することが報告されています。特にRisser signが低いほど進行リスクが高く、治療介入の重要性が強調されています。(右図) 

 

 

 

側弯の進行と予後予測の説明にはSRS基準の進行リスクチャートが一般的に用いられています(右図)。例えばRisser 0〜1でCobb角20〜30°の場合、約60%が進行し、30〜40°では90%が進行するとされています。右図からもRisser徴候が若く、Cobb角が大きいほど側弯が進行する確率が高くなる事が示されています。ちなみに進行の定義は「6°以上のCobb角増大」とされています。 

 

 

 

 

治療方法の選択に関しては、一般的にSOSORT 2016ガイドラインに基づく治療アルゴリズムが利用されています(右図)。軽症例では経過観察やPSSE(Physiotherapeutic Scoliosis-Specific Exercises)、中等度では装具療法(FTRB、TTRBなど)、重症例では手術が推奨されます。特に近年は、成長初期の軽症例(10〜25°)に対してもPSSEや夜間装具を早期導入する考え方が支持されており、進行抑制や手術回避率向上が期待されています。 

 

 

保存的治療で中心になるのが、側弯装具です。これまで多くの装具が利用されてきましたが、近年注目されているのがシグマックス体幹装具SFです。従来の装具と比較して軽量で着脱が容易、皮膚トラブルが少なく見た目も良いことから、患者や家族が受け入れやすく、軽症例への早期介入にも活用しやすいため、当院でもこの装具を採用しています。

 

 

シュロス法(Schroth Method)は、1920年代にドイツの**Katharina Schroth(カタリーナ・シュロス)によって考案された、思春期特発性側弯症(AIS)に対する代表的なPSSE(Physiotherapeutic Scoliosis-Specific Exercises:側弯症特異的運動療法)**です。現在ではSOSORTガイドラインでも推奨されており、世界的に最も普及している保存的治療法の一つです。
AISの脊柱変形は単なる側方への湾曲ではなく、「側屈」「回旋」「矢状面変形」の3次元的変形です。シュロス法では、この三次元変形に対して個々の患者のカーブパターンを分析し、姿勢矯正・筋活動の再教育・呼吸訓練を組み合わせて治療を行います。特に特徴的なのが**回旋呼吸(Rotational Angular Breathing)**で、凹側胸郭へ意識的に呼吸を送り込むことで胸郭の非対称性を改善し、脊柱の矯正を促します。

 

 

治療では鏡や姿勢フィードバックを利用しながら、患者自身が正しいアライメントを認識し、自ら修正する能力を獲得することを目標とします。そのため、単なる筋力トレーニングではなく、姿勢制御と運動学習の要素が強いことが特徴です。

近年の研究では、シュロス法はCobb角の進行抑制、体幹の左右非対称性改善、疼痛軽減、QOL向上に有効であることが報告されています。特に装具療法との併用では治療効果が高まり、装具装着への理解や遵守率向上にも寄与するとされています。一方で、効果を得るためには専門的な評価と継続的な指導が必要であり、認定セラピストによる個別指導が推奨されています。

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